構築を支える 堅固な礎
大胆な、建築を思わせるシルエット
メゾンの豊かなアーカイブで明らかなように、ピエール・バルマンが若い頃に学んだ建築が彼の作品を形作っています。数十年におよぶ、畏敬の念を起こさせるコレクションの スケッチ、切り抜き記事、ビデオ、作品は、オリヴィエ・ルスタンに21世紀のBalmainをデザインする無数のインスピレーションを もたらします。
建築のルーツ
ピエール・バルマンらしさを物語るシルエットの特徴的な要素、それは厳格なテーラリング、絞ったウエスト、力強いショルダー、完璧なプリーツ、 緻密に作り出されたボリュームです。これらすべては、ピエール・バルマンが若い頃に学んだ建築にさかのぼることができます。バルマンは自身が情熱を傾けるこの2つの分野の関連性をしばしば強調しています。
BALMAIN アーキテクチャー
「建築家の仕事とクチュリエの仕事には、間違いなく密接な関係があります。石造りかモスリン製か、 何世紀も残るものかワンシーズンのためだけのものかという違いはあっても、本質的な違いはありません。」
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ファッションのターニングポイント
ピエール・バルマンの初コレクションは、その大胆さで当時の一流ファッション評論家たちから絶賛されましたが、 バルマンの親友であるアメリカ人作家アリス・B・トクラスが、その瞬間を印象的に要約しています。トクラスは、1945年のショーがファッションのターニングポイントになったと評価しています。 また、バルマンが戦後のパリ ファッションの先駆者であり、「ニュー フレンチスタイル」とトクラスが命名した、驚くべき、新鮮な、当時必要とされていた新しいビジョンの創造者であると宣言しました。
「ニュー フレンチスタイル」の誕生
「突然、ファッションの本質に対する新たな理解への目覚め、美しく飾られ昇華された女性のフォルムと魅力が出現しました。ドレスはもはや、多少装飾された便利な衣服ではなく、再び美の対象となり、シルクやウール、レース、フェザー、花々でエレガンスや気品、繊細さを表現するものになったのです。」
アリス・B・トクラス
ニュー フレンチスタイル
1946年
「JOLIE MADAME」シルエット
1949年、バルマンはメゾン初のフレグランス「Jolie Madame」を創造しました。「情熱と魅惑の夜のための冒険の香り」 を 表現しています。 この新しい香りは人気を博し、ピエール・バルマンは1952年秋コレクションをこの香りにちなんで「Jolie Madame」と名付けました。このコレクションは バルマンが作り上げた新鮮、大胆、フェミニンな「ニュー フレンチスタイル」の上に構築され、その名はすぐに、メゾンの厳格なテーラリング、完璧な装飾、パリ スタイルの真髄を 指す言葉となります。
ニュー「ニュー フレンチスタイル」
オリヴィエ・ルスタンは、ピエール・バルマンの遺産である「ニュー フレンチスタイル」を大切に受け継いできました。メゾンの豊かなアーカイブから直接得たインスピレーションをもとに、 Balmain アトリエが誇る複雑な伝統的クチュール技術を駆使して、ルスタン 独自のスタイルを歴史あるメゾンに巧みに結び付けることができたのです。実際に、ルスタンが創造したモダンでインクルーシブな「ニュー フレンチスタイル」には、 一目でわかる特徴的なシルエット、ルスタン自身の並外れた人生経験を反映した現代的な展望、 変化する永遠の都パリの大通りに宿る精神が融合しています。ダイナミックで多様なファッションの首都は、75年以上にわたって
すべてのBalmain コレクションに影響を与えてきました。
驚くべきアーカイブ、無限のインスピレーション
「Balmainでの面接で、やがて同僚となる人たちから、メゾンの“眠れる巨人”は莫大な富の上で休んでいるが、その豊かさは忘れられていると説明されました。その言葉の意味は、アーカイブの膨大なスケッチ、切り抜き記事、ビデオ、作品を見て初めて理解できました。過去のスケッチや切り抜き記事、ビデオ、作品など、その膨大なコレクションの豊かさに、13年前の私は圧倒されました。それは今も変わりません。」
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動きの建築
オリヴィエ・ルスタンは、つねにアーカイブからインスピレーションを得て、ピエール・バルマンの見事な構造を今日のモダンなランウェイに反映させています。有名な話ですが、 バルマンはその比類なき才能で、完璧に仕立てたクチュール作品を身体の動きの曲線にぴったり沿わせていました。バルマン自身が 「la couture est l’architecture du movement」(クチュールは動きの建築である)と要約しています。同様に印象的な構造に対するセンスが、 現在のルスタンのコレクションを際立たせています。
パワーが増幅するシルエット
ピエール・バルマンの新鮮でフェミニンな「ニュー フレンチスタイル」から、オリヴィエ・ルスタンの見事なまでにモダンな「ニュー フレンチスタイル」まで、すべてのメゾンのデザインは明確に リンクし、それぞれが瞬時に分かる共通の精神と展望を表現しています。メゾン創設者を象徴するシルエットが即座に人気を博したのは、 当時の実用的な装いを大胆に否定したからです。オリヴィエ・ルスタン独自のテーラリングは、力強いショルダーや強調されたウエストなど、 革新的かつ大胆で、メゾンのコレクションの多くにインスピレーションをもたらすロックミュージックのようにパワーが増幅するシルエットを 生み出しています。
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つねに一目瞭然
BALMAIN スピリット&シルエット
大胆で、目を引く、官能的な、つねに力を与えてくれるオリヴィエ・ルスタンのボディコンシャス デザインは、遠くからでもBalmainのアイデンティティが 難なく理解できます。Balmainの力強いラインはメゾンの明確なシグネチャーなのです。
過去からのインスピレーション、未来のデザイン
「講演や著作の中で、そして何より数十年にわたる制作において、ピエール・バルマンはよく、ひとつの極めて重要な真実に光を当てています。 それは、過去からインスピレーションを得ることはもちろん必要だが、ファッションデザイナーたるもの、ヴィンテージ作品をただ真似ようとしてはならないということです。それよりも、ムッシュ バルマンが繰り返し強調しているように、私たちはつねに、過去数十年のデザインが現代のニーズと新たな世代の独特の好みを反映してアップデートされているかを確認せねばなりません。そして、それこそが、チームとともに毎シーズン目指してきたことなのです。」
オリヴィエ・ルスタン
フォトクレジット
写真 ピエール・バルマンとメゾンのモデル、1953年:
© BALMAIN PARIS, ALL RIGHTS RESERVED
BALMAIN 1950年クチュール コレクション全スケッチ :
©BALMAIN PARIS, ALL RIGHTS RESERVED
マリニエール
メゾンのシグネチャー