卓越したテーラリングとデザイン
アトリエと職人
ピエール・バルマンが発表したニューフレンチスタイルの特徴としてリストされる、厳格なテーラリング、絞ったウエスト、力強いショルダー、完璧なプリーツ、緻密に作り出されたボリュームはすべて、彼が若い頃に学んだ建築にさかのぼることができます。

建築家の仕事とクチュリエの仕事には、間違いなく密接な関係があります。石造りかモスリン製か、何世紀も残るものかそのシーズンのためのデザインかという違いはあっても、本質的な違いはありません。
「ピエール・バルマンの戦後の成功を可能にしたのは、職人的なサヴォアフェールに比類なきこだわりを持つパリの伝統的クチュールです。そして、今日、私もその伝統的クチュールを基盤として、正確で非の打ちどころのないパリのテーラリングやデザインを追求、発展させようとしている点で創業者と同じです。」
オリヴィエ・ルスタン

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動きの建築
ピエール・バルマンはその才能によって、動きのあるボディラインにぴったりと沿わせる完璧なテーラリングを実現していました。そして、自らの作品について語る際に、「服飾は動きの建築である」と述べています。
素晴らしきレガシーとモダンなスピン
Balmainの卓越したテーラリング技術は、創業者の時代から受け継がれてきた唯一無二のヘリテージであり、今日のオリヴィエ・ルスタンのランウェイでも衰えることなく継承されています。その上で、メゾンの象徴的なスキルは21世紀に入ってから常にアップデートされてきました。例えば、2020年秋コレクションのランウェイではデザイナー工藤亜津子のラテックスクチュリエを取り入れた、この上なく素晴らしい作品が披露されました。素材の巧みなカッティングや縫製により、意外性と慎みのあるセンシュアリティを表現することに成功したのです。

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Balmainのなめらかなラインが際立つ60年代のメンズテーラードシルエット
「2023年秋メンズコレクションは1960年代半ばに登場した初のメンズデザインに着想を得ています。初期の頃の作品は、流線形の洗練されたスタイルを特徴とし、アトリエが誇る卓越したテーラード技術がそれを支えていました。シャープなカットが美しい細身のスーツは、サンジェルマンで活躍するジャズアーティストたちの小粋なムードに着想を得ていたのです。もちろんそのデザインは、伝統的なスーツスタイルとは大きくかけ離れていました。」
オリヴィエ・ルスタン
ビヨンセ x BALMAIN によるRENAISSANCE クチュール
「ビヨンセと私はBalmanの2023年秋コレクションで特別なクチュールコラボレーションを実現しました。そこでは創業者ピエール・バルマンからのレガシーを強く意識した作品を製作しました。メンズ&ウィメンズのプレタポルテ コレクションでは、メゾンの豊富なアーカイブから直接インスピレーションを得ています。ビヨンセと作り上げたRenaissance クチュールにおいても、シャープなカッティングや精緻なパリのテーラリングに対する創業者のこだわりが落とし込まれています。」
オリヴィエ・ルスタン

もはや眠れる巨人ではない
「Balmainでの面談で、やがて同僚となる人たちから、メゾンの『眠れる巨人』は莫大な富の上で休んでいるが、その豊かさは忘れられていると説明されました」と、オリヴィエ・ルスタンは振り返ります。「その言葉の意味は、アーカイブの膨大なスケッチ、切り抜き記事、ビデオ、作品といったものが宝として遺っているということだったのです。それらを見たとき、私はすっかり魅了されました。Balmainの2023年秋コレクション ランウェイは、創業者ピエール・バルマンの卓越したテーラリングや力強いグラフィック、洗練されたディテールに着想を得ています。つまり、もはや膨大な宝の山は眠っているだけではなくなったわけです。」
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何事もルールを破るなら、まずはルール通りに成し遂げてから
「Balmainは“型破り”の意味するところを知っています。毎シーズンのコレクションは、すでにメゾンが大昔に習得している優れたノウハウや精緻なテーラリング技術を基盤としていずれも完成しています。そしてその上で、型を破り、若い世代のニーズを反映した新しいシルエットやスタイルを生み出しています。伝統と意外性のある新たなデザインの融合が力を発揮することを我々は知っています。」
オリヴィエ・ルスタン
細部へのフォーカスを可能にするアットホームなプレゼンテーション
2023年秋コレクションの和気あいあいとした小規模なプレゼンテーションでは、ファッションウィークのお祭り騒ぎからは少し離れて一つ一つのアイテムをしっかりとご覧いただけるように意識しました。パリの熟練職人たちが作り上げた、時代に関係なく支持される作品の一つ一つに集中し、その不朽のパワーや並外れたサステナブル性に注目いただきたいと思ったためです。ゲストの皆さまには、Balmainが優れたレガシーの上に成り立っており、今日のニーズを満たすだけでなく、常に明日を見据えてクリエイションを行っているブランドだということがお分かりいただけたことでしょう。

優れたサヴォアフェール
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